tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

従業員の身分制をやめた戦後の日本企業

2017年07月06日 17時02分39秒 | 経営
従業員の身分制をやめた戦後の日本企業
欧米の経営管理者と労働問題の話しをして、労働組合が企業別に組織されていることや、ブルーカラー、ホワイトカラーも一緒の組合で、賃金制度も一本化されているところが多いなどというと不思議がられます。

 ブルーとホワイトを区別しないからグレーカラーだとか、同じ従業員でもブルーがホワイトになったり、ホワイトがブルーになったりするので、ゼブラカラーだなど言って笑わせます。

 日本がこんなことになっているのは、戦後の日本の経営者が、従業員の身分差別を排して全員「社員」という事にしたからです。
 日本の労務専管団体だった日経連の初代の会長、桜田 武氏は、そのことを誇りにしていました。

 こうして出発した戦後の日本企業は、人間中心の日本的経営を掲げ、世界も驚く成長を遂げました。
 こうした中で作られてきた人事賃金制度は、矢張り、仲間意識、チームワークを重視するもので、必然的に格差の小さいものでした。

 勿論年功賃金の色彩を色濃くもっていましたから、最初は1年先輩にはなかなか追いつけませんが、社内異動を重ね、10年選手ぐらいになりますと職務やポストも変わり、能力主義部分が次第に大きくなります。

 能力により昇進、昇格のスピードが違えば給与の差がつくのは当然ですが、多くの日本企業では、トップと新入社員の賃金の月例給の差は10倍程度のようで、通常、能力や成果と賃金は比例していません。社員の間では、2倍働いて賃金2割増し3倍働いて3割増し、などと言われたりするようですが、これも日本の企業文化の所産でしょう。

 いわゆる生保レディーや一部の販売職のように、能力や成果をそのまま反映させたら、一家のに生活がやっとの人から、タワー億ションに住み高級外車を乗り回す人までの差が出ますが、それは例外的な職種で、一般的ではありません。
 ノーベル賞をもらっても、研究仲間の協力のお蔭というのも日本人だけでしょう。

 前回は、所得税の累進課税を取り上げましたが、企業での所得(賃金)そのもの決定が、日本の場合、もともと格差の少ない仕組みになっていたという事も、日本人、日本社会が、あまり大きな格差を好まないという事の結果のようです。

 こうした日本の良き社会・文化的な在り方を、上手に生かしていくというのも、格差問題を解決するための民間企業の役割ではないでしょうか。

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